『天国のダイスケと。』[第1回] 強豪高校から弱小大学へ

『天国のダイスケと。』[第1回] 強豪高校から弱小大学へカテゴリアイコン

2015. 10. 17

箱根駅伝予選会が本日開催されます。一般の人達にとっては、いよいよ箱根駅伝シーズンの到来。でも当の選手達にとってはここがひとつの大きな山場。シード権を獲得していない大学にとっては、1年間の全ての取り組みはこの日のためにあります。
実際に箱根駅伝出場に向かって日々の練習に取り組む選手達にとって、箱根駅伝とはどんなものなのか、選手達の想いを知ることができれば、箱根駅伝の見方や楽しみ方により厚みが出るのではないか。そんな風に思ったので、実際に箱根駅伝予選会にも本選にも出場経験がある久保に、金曜ジョグスパの後の懇親会時に話を聞いてみることにしました。
当時のチームメイトで若くして亡くなられたダイスケさんの実話を元にして作られたドラマ「天国のダイスケへ」の話を交えながら語ってくれました。全6回でお送りします。

インタビュー/編集:石田

 

<目次>

第1回(10月17日更新)
強豪高校から弱小大学へ

第2回(10月19日更新)
本選出場に2秒足りない!!

第3回(10月21日更新)
喜ぶというよりホッ。

第4回(10月23日更新)
ダイスケから託された襷

第5回(10月25日更新)
通るのは大変です、やっぱり

第6回(10月27日更新)
想いの詰まった手ぶくろ

 

 

 

 

石田
久保さんは実際に箱根駅伝に出場経験があるので、今日は箱根駅伝のことを、久保さんに聞いてみたいと思いまして。

 

 

久保
はい。今後ですね、これから(箱根駅伝の)予選会があったりしますので、箱根を見るうえで、(私がこれまでの経験をお伝えすることで)学生たちの箱根に対する情熱や取り組み方、思いなんていうのを伝えられるんじゃないかと。

 

 

石田
久保さんは箱根駅伝、何回出場したんですか?

 

 

久保
僕は2回ですね。

 

 

石田
何年と何年?

 

 

久保
97年と98年ですかね。3年生と4年生の時です。で、僕が入った時って、同好会みたいなチームだったんですよ。拓大、当時はですね。

 

 

石田
(出身大学は)拓殖大学?

 

 

久保
はい。拓殖大学だったんですけど、いろいろ名門校がある中で、その同好会の様な拓殖大学にスカウトされたんですよね、一からチームを作るっていうんで。
監督が新しく就任されて、その監督が選手を集めるっていうことになり、声をかけられた選手が全国から集まったんですね。全国のトップクラスが、その時は10人ぐらい集まったんです。というとこからスタートだったんです。
その監督っていうのが当時の日本記録を持ってらっしゃる方で。(現役を)引退されて、大学の監督になられると。そこで選手を集めてらっしゃったんですね。私もスカウトされたんですが、その中にこのダイスケもいたんです。でも最初は同好会のような雰囲気で。そういうチームだったから、駆け出しの頃はうまくいかないことが多かったですよね。

 

 

石田
最初はすごく弱かった。

 

 

久保
ほんと、スクールウォーズな感じ。知ってますか? スクールウォーズ、あんな感じです。

 

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石田
今日参加くださっている皆さんは、スクールウォーズ世代ですよ。

 

 

久保
あんな感じです。まったく無名の弱体チームって感じで。

 

 

石田
今でこそ、拓大って結構な常連校なイメージですけどね。

 

 

久保
そうですね、はい。

 

 

石田
あの時はもう、全然弱いチームだったと。ということは、箱根駅伝の予選会には出てるんですか?

 

 

久保
4回出たんですよ。

 

 

石田
箱根駅伝に出る為に、予選会っていうのがあるんですよね。

 

 

参加者女性
読みました、本。何でしたっけ、三浦しをんさんの…

 

 

久保
ああ、そうです。「風が強く吹いている」ですよね。あれも、少し関わりがありまして…。

 

 

『風が強く吹いている』
三浦しをんによる箱根駅伝を舞台にした青春小説。箱根駅伝をめざす若者たちを通して、自分と向き合い、ひとり孤独に戦いながらも、確実に誰かとつながってゆく。生きるための真の「強さ」を高らかに謳いあげる。

 

参加者女性
読んでいたら、本の後ろの方に(久保コーチの)名前が書いてあってびっくりしました。

 

 

久保
そうなんですよね。三浦しをんさんが、まだ直木賞取られる前に、箱根駅伝のことについて書きたいんです、なんておっしゃってて。共通の知り合いがいたもんですから紹介を受けてですね。
「箱根駅伝ってどういう感じなんですか」っていう質問を受けて、こういう思いでやってたりとか、こういう感じでやってるんですよ、ということをお話したんですね。他にも相当取材をされたんだろうと思うんですけど、あの小説の内容ってすっごくその通りなんですよ。タイム設定とか、もう、とてもリアルです。

 

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参加者女性
予選会の存在とか、それを読んで初めて知ったんです。

 

 

石田
では、久保さんは箱根駅伝にまつわる作品的なモノに2つ関わってるんですね。

 

 

久保
そうですね。(照れ笑い)
あれも、同好会的なチームの話ですよね。まったく無名から、成り上がっていくみたいな感じで。
でも、なんでそんな弱体チームに行ったのかということですよね、そもそも。

 

 

石田
そうですね。そこに興味があります。

 

 

久保
それはですね、すごくスター選手だったんですよ、その監督が。

 

 

石田
そもそも久保さんは、何高校だったんですか。

 

 

久保
岐阜県の中京商業って、今、中京高校なんですけど。軟式野球で50回とか戦った高校あるじゃないですか。

 

 

参加者女性
ありましたね。

 

 

久保
あそこです、岐阜県の。で、愛知の中京大中京とよく間違われるんですよ。

 

 

参加者女性
あ、違うんですね。

 

 

久保
違うんですよ。で、もう面倒くさいんで聞かれると「そうです」って言ってるんですが。

 

 

一同
(笑)

 

 

石田
何が違うんですか。名前は違うけど…。

 

 

久保
創設者と所在地が違います。でも、建学の精神は同じ人(梅村清光氏)から来てるみたいなんです。
もともと戦時中に中京商業高校(A)っていうのがあって、戦後、この学校の息子さんが新しく高校を作ったんですよ、息子さんが。それが中京高校(B)だったんですね。
そしたら、中京商業(A)が(1967年に)名前を中京高校(A)に変えたんです。そしたら、今度は中京高校(B)が、なにくそーってことで、その中京商業(B)の名前をもらったんですよ。

 

 

石田
ではその当時は、中京高校(A)と中京商業(B)。

 

 

久保
で、そこまではよかったんですけど、今度は中京高校(A)が中京大学の系列ということで、中京大中京(A)に変えたんです。そしたら、今度は中京商業(B)が中京高校(B)に名前を変えたんですよ。

 

 

石田
ややこしい。

 

 

一同
(笑)

 

 

久保
ややこしいんすよ。いいじゃん、中京商業でみたいな。そういういきさつがあって、それはもう訳わからない。

 

 

石田
で、今は中京大中京と中京高校に落ち着いたんですね。

 

 

久保
はい。で、拓殖大学の監督さんは、僕の高校(現・中京高校)の先輩なんですよ。で、旭化成っていうところの実業団に行ってから、3,000メートルと5,000メートルの日本記録を作ったんですよ。ソウルオリンピックの日本代表としても走りました。
だから、僕にとっては雲の上の存在だったんですね。で、その方が、大学の監督になられるってことで、高校の直属の後輩ですから、来ないかって言われて。ああもう、そんな人が声かけてくれたんだったら、絶対行こうって。

 

 

石田
でも、弱かった。

 

 

久保
めちゃめちゃ弱かったんです。

 

 

石田
選択肢としては、ほか(の大学)にもあった?

 

 

久保
ありました。

 

 

石田
それこそ、箱根駅伝常連校とか…?

 

 

久保
そうですね、ありがたいことに、当時の常連校含めて、何校かに声をかけてもらってました。

 

 

石田
そんな中で敢えて。

 

 

久保
そうですね、でも監督が声かけてくれて、その時に言うんですよ、数年で箱根優勝しよう。やっぱそういうこと言われるとですね、憧れの人だったし、弱くてもやってやろうと。
で、行ったんですよね。でも、僕はなかなか思うように行かず、伸び悩んだんです。
でも、後輩たちが日本を代表する選手に育ってるんですよ。たとえばこの前のロンドンオリンピックの藤原新選手とか、あと中本健太郎選手、世界選手権でも入賞しましたけど。あと僕の、ほんとに高校の後輩でもあり、大学の後輩でもあるコバヤシ君っているんですけど、2つ下で。1,500メートルで、日本記録を持ってる。
だから、大学で世界に通じる精神を養われたんじゃないか、今はそう思っています。

 

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出典:朝日新聞デジタル

 

 

石田
拓大から世界へ。

 

 

久保
ていうふうに考えてますね。だから、ある意味(拓殖大学の選手にとって)箱根は、世界への登竜門っていう。

 

 

石田
学生時代はやっぱり箱根がてっぺんみたいな感じがあったんですか?

 

 

久保
ありますあります。
大きい(大会である)からですね、それ以上のものっていうとなかなか、と当時は思ってました。

 

 

石田
一番注目される?

 

 

久保
ですね。

 

 

<つづきます>

 

 

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天国のダイスケへ~箱根駅伝が結んだ絆~

日本テレビ系で、2003年1月に放送されたスペシャルドラマ。2000年度「第5回報知ドキュメント大賞」を受賞した作品『僕、死ぬんですかね』(佐藤忠広著)を原案に、難病にかかり23歳でこの世を去った若きアスリート・佐藤大輔さんの実話を元に作られた作品。
出演:福山雅治、小栗旬、瀬戸朝香、松本莉緒 ほか

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