『天国のダイスケと。』[第4回]ダイスケから託された襷

『天国のダイスケと。』[第4回]ダイスケから託された襷カテゴリアイコン

2015. 10. 23

箱根駅伝予選会が先週土曜日(17日)に開催されました。一般の人達にとっては、いよいよ箱根駅伝シーズンの到来。でも当の選手達にとってはここがひとつの大きな山場。シード権を獲得していない大学にとっては、1年間の全ての取り組みはこの日のために、と言っても過言ではありません。
実際に箱根駅伝出場に向かって日々の練習に取り組む選手達にとって、箱根駅伝とはどんなものなのか、選手達の想いを知ることができれば、箱根駅伝の見方や楽しみ方により厚みが出るのではないか。そんな風に思ったので、実際に箱根駅伝予選会にも本選にも出場経験がある久保に、金曜ジョグスパの後の懇親会時に話を聞いてみることにしました。
当時のチームメイトで若くして亡くなられたダイスケさんの実話を元にして作られたドラマ「天国のダイスケへ」の話を交えながら語ってくれました。
全6回でお届けするシリーズの4回目です。

インタビュー/編集:石田

 

 

<目次>

第1回(10月17日更新)
強豪高校から弱小大学へ

第2回(10月19日更新)
本選出場に5秒足りない!!

第3回(10月21日更新)
喜ぶというよりホッ。

第4回(10月23日更新)
ダイスケから託された襷

第5回(10月25日更新)
通るのは大変です、やっぱり

第6回(10月27日更新)
想いの詰まった手ぶくろ

 

 

 

 

久保
最後シード権は獲れたんですけど、ダイスケとかも、思うような走りができなかったんです。

 

 

石田
ダイスケさんは同期ですか?

 

 

久保
同期ですね。素質はピカイチでしたね。関東インカレっていって、トラックのレースがあるんですけど、それでうちは、1,500メートルでダイスケが優勝して、1位2位3位独占したりとかして、ほんとトラックで記録を伸ばしてきて、拓大ってすごい勢いがあったチームなんですね。

 

 

石田
(ダイスケさんは)高校の時から速かった?

 

 

久保
インターハイが8位ぐらいでしたかね。全国で8位。

 

 

石田
高校とかで速いと、どこどこの高校のあいつが速いなみたいなのありますもんね。

 

 

久保
あります、あります。
なので、(高校時代)全国の上位(の記録)をごっそり取ったんですよ、僕らの世代が。だから(大学で)結構注目されてたんですよね。
それなのに、(大学では)まったく不甲斐ない走りだったから、「ダイスケ…」って言って、実業団行くって決まってたからですね、「実業団行ったら、高校以上に頑張ろうな、絶対環境が変わるしもう一度花咲かせよう」、みたいなことを話してたんです。
そしたらですね、病気になっちゃったんです、ダイスケ。。。

 

 

参加者女性
実業団入ってすぐの話ですか。

 

 

久保
入る前ですね。大学卒業してからですかね、検査行ったら、病気になってたんですかね。再生不良性貧血っていって、血液の癌みたいな病気で。で、1年持たなかったんです。
で、もう、僕はダイスケがいてくれたから今でも走ってるように思うんですよね。こうして走り続けてると、やっぱりダイスケが頑張ってた証を伝えられるし、なんか…。
すごいダイエットしてたんです。当時、太るな太るなって言されてたから、りんごとか食べたりとかして。

 

 

 

参加者女性
走るのにダイエットをするんですか? パワーつけるんじゃなくて。

 

 

久保
昔はそうゆうことを言われたんですよね。でも、体を追い込んでるのに、やっぱ食べないと、蝕まれていきますよね。で、かなりの確率でしかならない病気なんですけども、やっぱそれだけのことやってたんですよね。だって、きっと箱根駅伝で出るぐらいの確率なんじゃないかと思うんですよ。そんぐらいの、何千分、何万分の1の病気かもしれない。でも、たぶんそのぐらいの(厳しい)練習をやってたんだと思うんですよね。
ダイスケが病気なった時、僕は思ったんですよね。やっぱり回復させることは大事だったし、体を追い込んでるのに回復が間に合わなかった・・・。だからですね、ほんと、つらかったですよね。

 

12167987_939631312798302_1997658584_n (1)

 

石田
なんか当時の野球部なんかもそんな風潮がありました。

 

 

久保
そうですね。

 

 

石田
水飲むな、みたいな。そういう時代。

 

 

久保
僕ら、醤油とかも、味つけまったく一切なかったですからね。納豆に醤油もダメでしたし。

 

 

参加者女性
なんでですか?

 

 

久保
塩分あるからとか、太るからっていう。

 

 

参加者女性
塩分摂るんじゃなくて。

 

 

久保
なんか、そういう感じだったんですよね。

 

 

石田
あんまり根拠がないけど。

 

 

久保
根拠がないけど、もうなんか、味つけナシ、みたいな。

 

 

参加者女性
それだけ練習こなしてるのに。

 

 

久保
でも、そんだけのことをやってでも、やっぱ出たかったし。だけどその、なんか、ダイスケ、すごい走るのが大好きで、最後に聞いた言葉、電話で話した時にですね、「久保、走れていいな・・・」って。それが最後の言葉だったんですけど。
いやあ、なんか、記録が出ないからどうのこうのとか、走れないからどうのこうののレベルじゃないなと思って。なんかこう、今普通にいることが、幸せなんじゃないかと強く思ったんです。
だから未だに僕は一緒にいる感じがするんですよね。ドラマの最後にですね、ダイスケの走る姿が出てくると、もうすごい込み上げてくるんですよ。感極まっちゃって・・・。今でも普通に思い出しますね。

 

ファイル 2015-10-16 11 49 05

 

久保
好きだったからですね、ダイスケは、走ることが。なんかでも、僕はこれ、伝えんといかんと思って。ダイスケの思いとダイスケがいたんだっていう証を。ダイスケのような仲間いたから頑張れたし、なんかそういう思いでやってきたというか、それが詰まってるんですよね、箱根駅伝には。
なんか、おそらく、大学生の子どもたちも、そういう思いでやってんじゃないかと思ってですね、出場するようなチームは。ほんと身を削ってるし、真面目だからですね、とにかく根が。なんかこう、自分の体を酷使してでもやったりとか、だから逆に走れなかったりもするんですけど。

 

 

<つづきます>

 

 

← 前へ                      次へ→

 

 

このコンテンツのトップへ

 

 

71Jl2Lcw3ZL._SX385_

 

 

天国のダイスケへ~箱根駅伝が結んだ絆~

日本テレビ系で、2003年1月に放送されたスペシャルドラマ。2000年度「第5回報知ドキュメント大賞」を受賞した作品『僕、死ぬんですかね』(佐藤忠広著)を原案に、難病にかかり23歳でこの世を去った若きアスリート・佐藤大輔さんの実話を元に作られた作品。
出演:福山雅治、小栗旬、瀬戸朝香、松本莉緒 ほか

戻る