『天国のダイスケと。』[第5回]通るのは大変です、やっぱり

『天国のダイスケと。』[第5回]通るのは大変です、やっぱりカテゴリアイコン

2015. 10. 25

箱根駅伝予選会が先週土曜日(17日)に開催されました。一般の人達にとっては、いよいよ箱根駅伝シーズンの到来。でも当の選手達にとってはここがひとつの大きな山場。シード権を獲得していない大学にとっては、1年間の全ての取り組みはこの日のために、と言っても過言ではありません。
実際に箱根駅伝出場に向かって日々の練習に取り組む選手達にとって、箱根駅伝とはどんなものなのか、選手達の想いを知ることができれば、箱根駅伝の見方や楽しみ方により厚みが出るのではないか。そんな風に思ったので、実際に箱根駅伝予選会にも本選にも出場経験がある久保に、金曜ジョグスパの後の懇親会時に話を聞いてみることにしました。
当時のチームメイトで若くして亡くなられたダイスケさんの実話を元にして作られたドラマ「天国のダイスケへ」の話を交えながら語ってくれました。
全6回でお届けするシリーズの5回目です。

インタビュー/編集:石田

 

 

<目次>

第1回(10月17日更新)
強豪高校から弱小大学へ

第2回(10月19日更新)
本選出場に5秒足りない!!

第3回(10月21日更新)
喜ぶというよりホッ

第4回(10月23日更新)
ダイスケから託された襷

第5回(10月25日更新)
通るのは大変です、やっぱり

第6回(10月27日更新)
想いの詰まった手ぶくろ

 

 

石田
そういうのって、変わってきたりしてるんですか、科学的に根拠のある練習メニューを取り入れたり…。

 

 

久保
ある、でしょうね。

 

 

石田
なんとなく、最近の青山学院大学とかは。

 

 

久保
そうですね。
最近思うんですけど、学生って、まだ子どもと大人の狭間のとこだから、すごく指導難しいなって思って。僕が現役時代一緒に走っていたり切磋琢磨していたランナーたちが今いろんな大学の監督、コーチやってるんですよね。しかも駆け出しの大学とか。

 

 

石田
そんな強くない大学などで?

 

 

久保
強くないですね。そんな子たちを育てるのって大変だなと思います。なぜかっていうと、まず弱いチームって元気がないところが多いんですよ。覇気がなかったり暗い。やる気があるのかどうかわかんなかったりして。で、だけど、子どもたちも、たぶん自信がないし、(走るレベルが)上の子と下の子って、すごくレベルが離れてて。下の子なんか特に、「なんでこんなことやってんだよ」って考えちゃう後ろ向きな子(の考えや姿勢に)に引きずられちゃうんですよ。意識が高い選手ももがくし。それを指導してる監督とかは、もっとうまくいかないってのを感じてるんですよね。だから同好会のようなチームを引き上げるって、相当大変ですよね。

 

 

石田
そんなに強くない大学の監督にはそんな悩みがあるんですね…。

 

 

久保
選手来てくれないですよね。僕の時はまだ、ほんとに(当時の)監督が(実業団の)トップ選手だったから、そこに惹かれて集まった選手がいるけども、ほかのところって、強い選手もいないし、何か惹かれるものがないと(良い選手を)取れないですよね。だから難しいと思いますよね。

 

 

石田
その仲間達が監督やコーチを務める大学も予選には出るんですか?

 

 

久保
出ると思います。

 

 

参加者女性
17日の。

 

 

久保
はい。でも、(予選会を)通るのは大変です、やっぱり。

 

 

参加者女性
予選会に出るのも大変?

 

 

久保
予選会に出るのは、難しくないですけど。

 

 

石田
てことは、結構ちゃんとやってる大学は、みんなもれなく参加して、結構いっぱい出る感じ、17日は?

 

 

久保
そうですね。
でも、さっき話した通り、やっぱり(良い選手が)一人だけじゃダメなんですよ、箱根って。僕が2年生の時、数名上位で走っても、ひとりふたりがブレイキしたら落ちるし。最後の最後までわかんないから、予選会は。結果が発表されるまで緊張するんですよね。
で、拓大って、1秒差で負けたことあるんですよ。僕らの後輩が、1秒差で。10人走ってるんですよ。なのに1秒差。
で、その時は、なんか不思議な制度があって。トラック種目があるじゃないですか、関東インカレのトラック種目で、たとえば、5,000メートルで上位に入ったら、何ポイント。そのポイントが、なぜか箱根の予選会のタイムとしてプラスされるんです。今は(その制度は)なくなったんですけど。
しかも、長距離種目だけじゃなくて、投擲[砲丸投げや円盤投げ等]とか、(長距離種目とは)直接関係ないものまでプラスされて、で、拓大って、そういう(投擲のようなフィールド)競技がなかったし。で、そこで、1秒で負けちゃって・・・。他の大学は、何分遅くても、そこのポイントがプラスされて予選通過、こうなるわけですよね。

 

 

参加者女性
そんなことがあったんですか。

 

 

久保
あったんですよ。だけど、(長距離種目も主戦場としてた)彼らからすれば、悔しくてなかなか受け入れられなかったはずですね。
僕らがシード権取った時って、トラックでポイント取ってたんですね。ダイスケも1500mで優勝、他の子も合わせワンツースリー取ったんです。5000mでも10000mでも、3000m障害、ハーフマラソンもポイント取っていたんじゃないかな。関東インカレ最終日まで拓大トップだったし。やっぱりトラック種目でポイントを取れる力がない大学なんだったら、箱根でもそんな力が出せないというような考え方を当時はしてましたよね。だから、その制度は肯定的には捉えてなかったです。
でも、たぶん1秒で負けた子たちは、一生引きずると思います。そんだけやっぱ、出ると出ないのとでは違うんですよ。まあ、今こういう仕事をしてますけど、(箱根駅伝に)出てなかったらこんな話はできなかったわけで。よかったなとは思いますね。

 

 

石田
そういう意味では、久保さんの周りには結構(箱根駅伝に)出てるコーチが多いですよね?

 

 

久保
多いですよね。ササキコーチもそうですし。

 

 

参加者女性
ササキコーチって、ランデポジョグスパでコーチをしてくれていた?

 

 

久保
はい。箱根駅伝、出てますよ。

 

 

女性
そうなんですね。

 

 

石田
ササキコーチはどこの大学?

 

 

久保
大東文化大学。

 

 

石田
これ(「天国のダイスケへ。」)で出てましたよね。

 

 

久保
さっき出てましたね、最初のほうで。
走ってますんで。僕も今、気がついたんですよ、あれーと思って。あ、もうちょい前ですね。えーとですね、この大東文化って。もうすぐ出てきますね。あれっ?と思って。あ、これです。

 

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出典:2002-2003駅伝時評

 

 

参加者女性
あー、ほんとだ。

 

 

石田
今の水曜日のジョグスパCチーム、イイジマコーチは。

 

 

久保
神奈川大学ですね。区間2位でしたね、1区で。

 

参加者女性
すごいですね、コーチ陣すごいですね。

 

 

石田
そうそうたるコーチ陣。
今年はだから、予選会は神大も出るし、拓大も出るし。大東文化は…。

 

 

久保
前回シード取りましたね。

 

 

参加者女性
(「天国のダイスケへ」の映像見ながら)ササキコーチは、第一走者だったってことですか?

 

 

久保
そうですね。ほんといっぱい出てるんですね。
こうして見ると、また違うと思うんですね。ほんとに、必死に、もう1秒で決まりますんで、予選会とかもう。一人じゃないですよね、出る度に思います、自分は。

 

 

参加者女性
見てるとおもしろいですよね。昔は、主人が箱根駅伝見てると、私、チャンネル変えてたんです。でも、去年横浜マラソンに当たって、走り始めて、走ることに興味が出てきたから、今年の正月は観てたんですね。そしたら主人が、「なんで見てんの」って。

 

 

一同
(爆笑)

 

 

参加者女性
今まで全く興味がなかったのに。
見てたらとっても感動しちゃって・・・・

 

 

<つづきます>

 

 

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天国のダイスケへ~箱根駅伝が結んだ絆~

日本テレビ系で、2003年1月に放送されたスペシャルドラマ。2000年度「第5回報知ドキュメント大賞」を受賞した作品『僕、死ぬんですかね』(佐藤忠広著)を原案に、難病にかかり23歳でこの世を去った若きアスリート・佐藤大輔さんの実話を元に作られた作品。
出演:福山雅治、小栗旬、瀬戸朝香、松本莉緒 ほか

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