『天国のダイスケと。』[第6回]思いの詰まった手ぶくろ

『天国のダイスケと。』[第6回]思いの詰まった手ぶくろカテゴリアイコン

2015. 10. 27

箱根駅伝予選会が先々週土曜日(17日)に開催されました。一般の人達にとっては、いよいよ箱根駅伝シーズンの到来。でも当の選手達にとってはここがひとつの大きな山場。シード権を獲得していない大学にとっては、1年間の全ての取り組みはこの日のために、と言っても過言ではありません。
実際に箱根駅伝出場に向かって日々の練習に取り組む選手達にとって、箱根駅伝とはどんなものなのか、選手達の想いを知ることができれば、箱根駅伝の見方や楽しみ方により厚みが出るのではないか。そんな風に思ったので、実際に箱根駅伝予選会にも本選にも出場経験がある久保に、金曜ジョグスパの後の懇親会時に話を聞いてみることにしました。
当時のチームメイトで若くして亡くなられたダイスケさんの実話を元にして作られたドラマ「天国のダイスケへ」の話を交えながら語ってくれました。
全6回でお届けするシリーズ、いよいよ最終回です。

インタビュー/編集:石田

 

 

<目次>

第1回(10月17日更新)
強豪高校から弱小大学へ

第2回(10月19日更新)
本選出場に5秒足りない!!

第3回(10月21日更新)
喜ぶというよりホッ

第4回(10月23日更新)
ダイスケから託された襷

第5回(10月25日更新)
通るのは大変です、やっぱり

第6回(10月27日更新)
想いの詰まった手ぶくろ

 

 

 

 

 

久保
なんか、すっごいピュアだなって思った瞬間がありまして、段ボール開けたらですね、こういうのが出てきたんですよ。当時ですね、これ、僕、アンカーで着けてたグローブなんですよね。で、この、後ろ見てください。みんなの名前書いてるんですよ。

 

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参加者女性
出た人ですか?

 

 

久保
僕アンカーなんで書いてないですけど、これダイスケなんですね。(ダイスケさんの名前を嬉しそうに指差しながら)
ここから1区。で、たぶんこれを見て、仲間がつないできたタスキなんだって、たぶん思ってたんでしょうね。で、これ、忘れてたんですよ。グローブにみんなで名前を入れてたこと。で、これ見て、あ、こんなにピュアな気持ちで書いてたんだな、みたいな。おそらく、アンカーだから、こいつらの為にって、僕、たぶん走りながら見てたんでしょうね。

 

 

参加者女性
すごーい。ご利益がありそう。

 

 

久保
これ、当時のユニフォームです。

 

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参加者女性
写メ撮ってもいいですか?

 

 

久保
もしよかったら。これがゼッケン。ちょっといい(素材の)ゼッケンなんですよ。

 

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石田
ほんとだ。絹っぽい。

 

 

参加者女性
しっかりしてる生地ですね。
すごい、ちょっとあやかりたい。なんか元気出てきた。

 

 

石田
なんかこう、すごいエネルギーが。

 

 

久保
想いですよね、想い。

 

 

 

参加者女性
(アミノバリューランニングクラブの)夏の合宿行った時、最初教えていただいて、アンカーのシード権獲得したっていうのを、写メ撮って。あー、格好いいと思いながら、写真見ながら、老眼鏡かけながら。

 

 

石田
この頃から久保さんはデザインが好きだったんですね。

 

 

久保
拓殖大学って、ちゃんとしたユニフォームなかったんですよ。私が入学した時にはですね。胸に拓殖大学って入ってるだけで。
いやいやいや、自分たちが誇れるユニフォームをちゃんと作ろうってことで、この胸にTを施したデザインをしたんですね、このオレンジと。で、そっから今、受け継がれて。

 

 

石田
そっから変わってない?

 

 

久保
僕、「T」だけじゃ物足りないから、その上に「takusyoku univ.」て入れたデザインにしたんですよ。だけど、次の年からなくなっちゃいました…シンプルにってことなのかなぁ(笑)。

 

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石田

その頃から、久保さんは画伯だったんだなぁ…。

 

 

久保
これ、ダイスケと、僕がアンカーの時の写真ですね。ちょー若いですね。これがダイスケです。僕が10区で、タスキ渡してるのがダイスケです。この手袋がその時していたものですね。

 

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参加者女性
宝物ですよね。

 

 

久保
僕の中では、ダイスケはこのままですね、このまま。

 

 

参加者女性
これが最後のレースになるんですか。

 

 

久保
最後のレースですね。

 

 

参加者女性
ほんとみんなの想いを…。

 

 

久保
そういう想いでやってたってことですね。

 

 

参加者女性
タスキをつなぐっていうことですね。

 

 

久保
なんか、たとえば、速いランナーも苦しいんですよ、やっぱこうして。ダイスケの表情見ればわかると思うんですけど。僕の倒れ込んでるのとかも。どんなレベルだって、ですね。もう必死だし、苦しいんですよ。
僕、倒れ込むのって、絶対あり得ないと思ってたんですよ、駅伝とかで。あれ、嘘々々みたいな。実際走ってみたら、自分2回倒れ込みました(笑)。

 

石田
こういうことあるんだって思ったってことですね。倒れ込むものなんだ。

 

 

久保
だから私、箱根駅伝で2回、もう倒れ込むぐらいの走りをしてるんで、マラソンが走れなかったんですよ。距離が(箱根駅伝の)倍じゃないですか。だからマラソンに行く勇気がなかったんですよね。

 

 

石田
その、気持ちとして。

 

 

久保
だから、私がマラソンやるまでに、10年かかりましたもんね。

 

 

石田
箱根終わってから10年かかりましたか。。。

 

 

久保
12年ぐらいですかね。やろうとしたら、(所属していた日産自動車の陸上部が)廃部になってしまって…。だけど、箱根駅伝は自分の中ではそんだけ大きなものなんです。だから、そんだけトラウマが残ったというか、なんか。

 

 

石田
フルマラソンに対して。

 

 

久保
だから(箱根駅伝の存在は)やっぱり大きいですよね。

 

 

参加者女性
こんなに筋肉質なのに、りんごしか食べてないって。

 

 

久保
僕は食べてましたよ、普通に。だけどダイスケは思い込まされてたのかもしれない・・・太ってる太ってるって。

 

 

参加者女性
全然太ってない。

 

 

久保
ダイスケは、走ることがほんとに大好きだったし、ほんとに速くなりたかったんですよ。で、僕は、なんかもう、走ることがいやでいやでしょうがなくなってしまったんです。入部してきた時は、絶対世界を目指すって言ってたのに。もう、環境のせいにしてたんですね、何もかもが合わずにとか。もうそれでいやになっちゃって。

 

 

石田
ダイスケさんは、それでも俺も速くなりたいなみたいな感じだった。

 

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久保
そうですね、ダイスケはそうでした。ずっと夢見てました。速くなって活躍する自分を。
そういった見方で、また、箱根とか、予選会とか見てもらうと、違うのかなっていう気がしますね。必死ですから、みんな。
でも僕思います。とっても辛くて苦しかったけど、ダイスケと一緒に過ごした大学生活は幸せでした。だって2回もダイスケからタスキを受け取ったんですよ、箱根駅伝で。だから、ダイスケが必死になって繫いでくれたタスキを僕はたくさんの人に託していかないといけないんです。それがダイスケの思いを伝えるってことになるし、ダイスケが今でも生き続けている証になるんです。

 

 

久保へのインタビューは今回はこれで終わります。
ご参加下さった皆さま、お読み下さった皆さま、ありがとうございました。

 

 

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天国のダイスケへ~箱根駅伝が結んだ絆~

日本テレビ系で、2003年1月に放送されたスペシャルドラマ。2000年度「第5回報知ドキュメント大賞」を受賞した作品『僕、死ぬんですかね』(佐藤忠広著)を原案に、難病にかかり23歳でこの世を去った若きアスリート・佐藤大輔さんの実話を元に作られた作品。
出演:福山雅治、小栗旬、瀬戸朝香、松本莉緒 ほか

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